16年前に私が空手道場を始めたとき、道場生は7名からのスタートでした。
その中に、幼稚園の年長さんだった男の子が一人いたんです。
彼は小学校を卒業するまでずっと道場に通ってくれましたが、中学生になると部活に専念するため、一度道場を離れました。
でも高校生になると、また戻ってきてくれたんです。
ところが、県外の大学に進学することが決まって、また離れることに……。
そしてこの春、大学を卒業して関東の会社に就職することになったと報告しに来てくれました。
道場を運営している中での楽しいことも苦しいことも、彼は私と一緒に経験してきました。
「先生は僕にとって、もう一人のお父さんです」と言われたときは、胸がいっぱいになりました。
気づけば私も、いつの間にか彼を本当の息子のように思っていたんだなあ、としみじみ感じました。
その言葉を聞いて、ふと自分の先生のことを思い出しました。
私も先生のことを父親のように慕い、憧れていました。
いまでも先生は変わらず空手道を教え続けていらっしゃるので、久しぶりに会いに行きたいなあ、なんて思いました。
今年もたぶん仕事で関東に行く機会があるはずなので、そのときは関東で頑張っている道場生たちを呼び集めて、昔話に花を咲かせながら一緒にご飯でも食べたいですね。
みんなで笑い合いながら、空手道を通じて育んできた絆を改めて感じられたら、こんなに嬉しいことはありません。
